ディファレンシャルギヤとは
ディファレンシャルギヤは動力伝達装置の一部で、自動車だけでなくさまざまな機械に採用されています。自動車用としてはコーナリング時、コーナーの外側と内側のタイヤが走る距離が異なるために発生する左右駆動輪の回転差を吸収し、スムーズなコーナリングを実現するための装置として、ほとんどの車に採用されています。
ディファレンシャルギヤ(サイド、ピニオン)は、小型軽量化やエンジン出力向上に伴う高トルク化に対応するため、高強度化ニーズがあり、冷間での閉塞鍛造工法での生産要望が高まっています。
ディファレンシャルギヤの鍛造での課題
ディファレンシャルギヤは、密閉に近い状態で鍛造しているため金型への負荷が高く、金型寿命が短いという課題があります。
金型寿命を延ばすためにするべきこと
金型寿命を延ばすためには、なぜ破損しているのかを確認することが大切です。
知識や解析ソフトを駆使し、破損の要因を把握し、より効果的な対策を検討することが、金型寿命の改善につながります。
今回は当社が取り扱うCAEソフト「DEFORM」を使用して、ディファレンシャルギヤの解析を実施し、破損した歯先R部に応力集中していることを確認できたため、歯先Rサイズを1mm大きくすることで応力集中を緩和できると考え、形状変更した解析を実施して効果を確認しました。
解析検証の結果は下記画像のとおりです。
歯先R0.5の場合と歯先R1.5の場合を比較すると、引張応力が約15%低減していることが分かります。応力集中が緩和されるため、金型寿命の改善につながり、金型寿命が2倍近く延びる結果を得ることができました。
まとめ
ディファレンシャルギヤの鍛造での課題
ディファレンシャルギヤは密閉に近い状態で鍛造しており、金型への負荷が高いため、金型寿命が短いという課題があります。
金型寿命を延ばすための対策と結果
歯先R0.5の場合から歯先R1.5への変更により、応力集中が緩和され、金型寿命の改善につながり、金型寿命が2倍近く延びる結果を得ることができました。
今回、検証に使用した解析ソフト「DEFORM」は、金型寿命の改善に大きく貢献することができます。ディファレンシャルギヤのような閉塞鍛造だけでなく、熱処理や切削時の製造プロセスにも活用可能です。ぜひ、他の事例もご覧ください。
