クラックとは?荷重センサーを活用して小さなクラック発生を検知した事例を解説

クラックとは?

クラックとは、金型表面に現れるひび割れの現象です。
金型にクラックが発生すると、金型表面に生じたひびが製品に転写され、製品表面の品質が低下したり、製品の寸法が外れたりするため、不良率に直結します。
そのため、クラックの発生が判明したら、即時、金型の修繕または入れ替えを行うことが重要です。

クラックが発生する原因と対策

クラックは「加熱と冷却の繰り返し」により生じるヒートクラックと、「高い応力振幅による疲労」による割れの初期症状としてのクラックがあります。
ここでは後者のクラックについての原因と対策について記します。

  • 高い応力振幅による疲労応力を緩和するには、材質の変更や金型の大型化、また設計変更による応力分散などが考えられますが、それぞれに制限があります。また表面処理を施し摩擦抵抗を軽減して疲労を遅らせる案がありますが、際立った効果に到達するにはトライ&エラーが必要になります。

このような対策によって、クラックはある程度防ぐことができます。しかし、あくまでもクラックの発生率を下げる、発生するタイミングを遅らせる対策のため、クラック発生による不良品流出などは完璧に防げません。
理想はクラックが発生する寸前、もしくは発生したらすぐに生産を停止し、金型の入れ替えを行うことです。ここからは、そんな理想を叶えた「クラックの発生を事前に予知した事例」を紹介します。ぜひご一読ください。

【事例】クラック発生を予知して、不良品流出を防止

この事例では、自動車部品の鍛造工程において、

  • 金型が割れるまで気づくことができず、金型成形部のクラックが製品に転写されて不良品になる
  • 目視検査を行っているが作業者によってバラツキがある
  • 短い寿命設定で金型を定期交換するため、コストがかかる

というお悩みがありました。

対策

対策として、リング型治具を金型の外径部に設置し、圧電式荷重センサー「PiezoBolt」でそのリングを締め付け、金型を設置してから破損するまでのサイクルを計測しました。

PiezoBolt設置図

※ボルト型圧電式荷重センサー「PiezoBolt」とは?
ボルトの内部に圧電素子を用いたセンサーユニットが埋め込まれた荷重センサー。
力(圧力)を加えることで電圧を発生させる圧電効果を利用して、微小な荷重変化の計測が可能。
より詳しい内容は、以下リンクよりご覧ください。

モニタリングソリューションのセンサー

効果

その結果、金型のクラック発生時の微小な振動を検知し、製品に転写するまでの進展度合を異常波形の発生回数でパターン化できることが判明しました。
生産中に発生する異常波形の回数をカウントし、設定数を超えるとアラーム発信と設備が停止する仕組みを確立することで不良品流出を未然に防止することができます。

計測結果

最後に

いかがでしたでしょうか。
金型の摩耗を防止する方法は多くありますが、今回は、荷重センサーを活用した対策を紹介させていただきました。
自社の生産ラインでも適用できないか、摩耗以外にも割れやかじりなどで困っている、などお困りのことがあれば、お気軽にお問合せください。

モニタリングソリューション活用事例集

圧電式荷重センサー「PiezoBolt」を用いて、生産現場のあらゆる課題を解決した事例をまとめた資料です。

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