チッピングとは?発生原因と荷重センサーによる対策を紹介

チッピングとは?

チッピングとは、金型の微小な欠けによる摩耗や、切削工具の刃先が小さく欠ける現象です。
欠けた状態で加工を続けると、さらに大きな欠けに進展し加工精度の低下や、金型や工具そのものの破損につながる恐れがあります。そのため、未然に防止、また発生したとしてもすぐに加工を停止し、金型または工具交換することが非常に重要です。

チッピングが発生する原因と対策

チッピングが発生する原因と対策をまとめました。

金型の場合

  • 初期の亀裂の発生を抑制するチッピングは繰り返しによる低サイクル疲労破壊であり、複数個所に生じた亀裂が各々伝播して連結することで発生します。疲労強度を上げるためには熱処理条件の改善、材質を変更して硬さを高める、また応力集中が軽減されるような型設計も求められます。

切削工具の場合

  • 工具材質の見直しと刃先形状の変更超硬やセラミックなどの工具は、高い硬度を有しますが、靭性が弱くなるため、衝撃や振動に弱いといった特徴があります。そのため、工具の硬度が被削材よりも大きく上回る場合は、チッピングが発生しやすくなります。
    対策としては、工具を靭性の強いものに変更すること、また刃先の形状が鋭利だと欠けやすくなるため、コーナーRをつけることも効果的です。
  • 切削条件の改善切削速度が速い、送り量が大きい、切削温度が急激に変化する、などといった環境下では、摩擦熱や切削抵抗が高まり、チッピングが発生しやすくなります。
    対策としては、切削速度や送り量を、様子を見ながら徐々に下げて調整していくこと、クーラント液の量や掛け方を改善して潤滑性を上げること、などが効果的です。

チッピングを徹底的に防ぐには?

今回、紹介した対策でチッピングの発生率は抑えられますが、完全にゼロにすることはできません。加工を続けていくにつれ、金型また工具の耐久度は必ず下がっていくからです。
金型の場合は、金型の硬さを高めることで発生リスクを抑制できますが、金型が割れる確率が増すといったデメリットがあります。
工具の場合は使用時間や回数に基準(寿命)を設けて、その寿命を上回る前に工具を定期的交換することで、チッピングなどのリスクを回避します。しかし、定期交換は、工具本来の寿命ギリギリまで使用せず、余裕をもった段階で交換を行うため、コスト面では非効率といえます。また突然の工具損傷による加工不良に対応できません。
生産現場における理想は、金型ですと製品品質に影響を与える直前に金型交換をすること。工具の場合は、見込みの寿命ではなく、本来の寿命ギリギリまで使用して工具交換することでしょう。

ここからは、金型で発生するチッピングに焦点を当てて、圧電式荷重センサーを用いて小さなチッピングの発生も見逃さず、設備を停止させ不良品発生を防いだ事例を紹介します。チッピングでお悩みの方は、ぜひ、ご一読ください。

【事例】チッピング発生時に設備を停止させた事例

この事例では、自動車部品の加工工程において、

  • まれに金型がチッピングして、不良品が発生してしまう
  • 既設のセンサーでは、小さいチッピングを認識できない

というお悩みがありました。

対策

対策として、パンチ側に、圧電式荷重センサー「PiezoBolt」を設置し、そこにかかる荷重を計測しました。

PiezoBolt設置図

※ボルト型圧電式荷重センサー「PiezoBolt」とは?
ボルトの内部に圧電素子を用いたセンサーユニットが埋め込まれた荷重センサー。
力(圧力)を加えることで電圧を発生させる圧電効果を利用して、微小な荷重変化の計測が可能。
より詳しい内容は、以下リンクよりご覧ください。

モニタリングソリューションのセンサー

効果

その結果、チッピングが発生すると荷重変動が起こることが判明しました。小さなチッピングでも、圧力状態が変わることで大きな変化がみられました。
これによって、チッピングが発生した際には、設備を停止させる仕組みを構築することで、抜き取り検査回数を減らすことができました。

計測結果

最後に

いかがでしたでしょうか。
チッピングを防止する方法は多くありますが、今回は、荷重センサーを活用した対策を紹介させていただきました。
自社の生産ラインでも適用できないか、チッピング以外にも摩耗や、割れやかじりなどで困っている、などお困りのことがあれば、お気軽にお問合せください。

モニタリングソリューション活用事例集

圧電式荷重センサー「PiezoBolt」を用いて、生産現場のあらゆる課題を解決した事例をまとめた資料です。

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