公開日:2022/01/11

精度の高い同芯度を実現するダイセット「高精度鍛造システム」

鍛造生産を行ううえで「プレスの老朽化のせいで同芯度が悪い」「外径の取り代が多い」「鍛造品の寸法がバラつく」などのお悩みありませんか?
当社が開発したダイセット「高精度鍛造システム」なら、プレスの影響を受けず、精度の高い同芯度を誇る鍛造品の生産が可能です。

この記事ではダイセットの基本概要、高精度鍛造システムの概要、適用事例を解説します。
プレス設備を入れ替えずに、同芯度を改善したい、生産効率を上げたいとお考えの方は、ぜひご覧ください。

高精度鍛造システムの3分で分かる!解説動画

ダイセットとは

ダイセットとは、プレス加工の際に金型をプレス機械に固定するための器具です。
ダイ、ダイセット上型、ダイセット下型、パンチ、ガイドポスト、ダイプレートなど複数の部品によって構成されています。
高精度の製品を生産するには、上型と下型の同芯度が正しく保たれていることが重要となります。また、金型および他の部品が交換しやすいか、メンテナンス性も精度向上に欠かせないポイントです。

なお、ダイセットには、バネ式、油圧式、ハイブリッドなどさまざまな種類があります。
より詳しい情報を知りたいという方は、以下のページをご覧ください。

特殊ダイセット「高精度鍛造システム」とは

高精度鍛造システムは、当社が開発した「プレスの影響を受けない特殊なダイセット」です。
当社独自のダイセット構成によりプレスの影響を排除することで、内外径の同芯度を向上でき、鍛造品の取り代を削減、材料費のコストダウンを実現します。

一般的なダイセットの場合、外径に対する内径の同芯度は約36μです。対して、高精度鍛造システムの場合、同芯度は約10μm、バラつきは13μm以下に抑えられます。

ダイセットの同芯度

また、高精度鍛造システムは後工程加工代のバラつきが小さく、工程能力も改善できることが特長です。

ダイセットの同芯度を向上できる3つの理由

ここからは高精度鍛造システムがダイセットの同芯度をどのようにして向上するか、技術要素をご紹介します。

その1 プレスの影響を排除

下図のようにダイプレートに傾きがある場合、従来はパンチも同じように傾いてしまうため、同芯度のズレが大きくなります。
高精度鍛造システムなら、球面座によって自動で傾きを調整します。そのため、接触面を常に水平に保つことができ、プレスの横方向・回転モーションの影響を除去できます。
軸方向モーション成分のみパンチに伝達できるため、同芯度向上につながります。

軸方向モーションのみパンチに伝達

その2 高精度な位置決め方法

パンチガイドと下部ダイセットに凹凸形状を設けることで、成形前に正確・安定的に位置決めを行うことができます。
これによって高精度の同芯度を維持した成形が実現できます。
同芯度確保

ダイの凸凹形状

その3 パンチとパンチホルダー間のゼロクリアランス駆動

パンチガイドにパンチの位置を維持するための独自の隙間を設けることで、適切な剛性を確保します。
これによって、パンチガイド内は継続的なパンチ摺動を可能にする潤滑状態が維持されます。
このパンチガイドとパンチがゼロクリアランスで駆動できる仕組みを適用し、パンチの位置精度のブレを最小化します。
ゼロクリアランス

高精度鍛造システムの適用事例

ここからは高精度鍛造システムを適用した事例をご紹介します。

適用事例 コップ製品

通常のメカニカルプレスを用いたコップ製品の後方押出鍛造工程に、高精度鍛造システムを適用しました。
その結果、一般的なダイセットを使用した場合の製品と比べて、精度のバラツキが大幅に減少し9μm以下の同芯度を実現。コップ先端部以外の部分では10μm以下のT.I.Rを実現しました。
1万回の空打ちと1千回の通常成形(【1千回空打ち+100回通常成形】×10回)の条件に対して、異常なく遂行でき、耐久性も問題ありませんでした。

同芯度のばらつき

次にシャフト部品、ドラム部品の成形に高精度鍛造システムを適用した場合、どのような効果を得られるか、予想した事例をご紹介します。

適用事例 シャフト部品

シャフト部品内外異形状(スプライン等)を有するシャフト系部品のチップレス化が実現可能!
【適用予想効果】内外同芯度を半減、精度バラツキを半減
【適用範囲】最外径:φ30程度、全長:100mm程度、内径L/D = 2.0程度

適用事例 ドラム部品

ドラム部品削り代削減やバラつき抑制によるトータルランニングコストの低減が可能!
【適用予想効果】内外同芯度を半減、精度バラツキを半減
【適用範囲】最外径:φ30程度、全長:100mm程度、内径L/D = 2.0程度

最後に

いかがだったでしょうか。
鍛造生産現場において、取り代削減・寸法精度および金型寿命の向上は、常に伴う課題であるといえるでしょう。
既存設備のまま、ダイセットを高精度鍛造システムに変更すれば、コスト削減・精度向上を実現できます。
より詳しい内容を知りたい、自社でも活用できるのか知りたい、などあればお気軽にお問合せください。

また、ダイセットを活用する中で「金型・パンチ交換が難しい」「交換時の精度管理に懸念がある」など課題もあるかと思います。
当社では、金型のセット交換方式のご提案も行っています。金型のセット交換により、型精度の維持、金型製作リードタイムの短縮といったメリットがありますので、ご興味のある方はお気軽にお問合せください。

ダイセットカタログ

モニタリング機器を埋め込んだダイセット「スマートダイセット」をはじめ、閉塞ダイセットや油圧ダイセットなどをまとめたカタログです。

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