PiezoBoltおよび専用計測装置を用いた切削工程への活用事例紹介


工具破損の予兆検知

IoTを活用したスマートファクトリー実現のための基盤技術として、あらゆるものにセンサーを組込み取得した膨大な数値情報のビッグデータ解析やAI技術への期待が世界各国で一層の高まりを見せています。
当社でも、センシング技術と鍛造シミュレーションを活用することで製造工程の“見える化”や“異常検知”、“設備保全”などに適用可能な基盤技術の開発に取り組んでいます。今回は、PiezoBolt (ピエゾボルト)および専用計測装置を切削工程に適用して「工具破損の予兆」を検知した事例をご紹介させていただきます。

工具破損の予兆検知(ドリル加工)

1. 工具交換は作業員の耳で切削音を聞き分け判断

一般的に工具の交換タイミングは、切削中の音や振動、切粉の色、においの変化など人の感覚で判定を行う、または工具の実寿命より短く設定された使用回数や時間で管理されています。

2. 切削中の振動をセンシングすることで工具破損を防止

人の技能に頼る部分を定量的に計測、数値化することで、工具の摩耗やカケによる製品への損傷を防ぎ、工具交換時期を適切に判断するセンシング技術の確立が求められています。

3. PiezoBoltおよび専用計測装置によるインプロセス検出

【PiezoBoltおよび専用計測システムの設置方法】
図1は被削材を固定する治具の締結用ボルト(M12)をPiezoBoltに置き換え取付けた状態を表します。PiezoBoltはボルト内部にピエゾ素子を埋設した圧電式荷重センサーです。切削中の荷重変動や振動は固定治具を通じてPiezoBoltの締結部へ伝わり、電気信号として出力されます。電気信号の収集タイミングは用意した波形生成器により3秒間隔で2秒間の計測を行うトリガー信号を作成し、専用計測装置へ与えました。また、専用計測装置では2秒間をサンプリングレート10kHzで計測しています。
被削材には直径100mm、高さ50mmの円柱状SKD61を用い、直径10mmのHSSドリルで深さ22mmまで穴を形成するドリル加工を繰り返し行い、PiezoBoltの荷重変化と異常信号検知の有無を確認しました。

図1 工程の概要およびセンサーの取付状態

【ドリル加工のセンシング結果】
PiezoBoltで検出した振動幅(最大―最小)をプロットした分布図(横軸は時間、青点で表示)、単位時間(分)当たりのデータ数を示す棒グラフを図2に示します。11回目に異音が発生し中止しましたが、それに至るまでの7回目と10回目、11回目の分布にばらつきが確認できます。振動幅が増加した7回目と10回目の異常時の波形を正常時の波形と重ね比較したグラフがその下図です。工具の摩耗や破損により被削材固定治具が受ける負荷荷重は増加することがわかります。PiezoBoltで工具劣化時の加工力の変化や振動パターンの変化を検出できることが確認できました。

図2 PiezoBoltの計測結果による工具破損の予兆検知

まとめ

PiezoBoltおよび専用計測装置を用いたインプロセスでのモニタリングにより工具破損の検出を試みました。今回は実証試験の位置づけですが、経験的なカン、ノウハウの定量評価が可能になるとともに工具の適切な交換時期や不要な不具合対応の回避による生産性の向上につなげられると考えます。
また、基準信号と異常信号との差異から状態を判断、判定することにより、警報や非常停止あるいはフィードバック制御など、加工の種類や設備に寄らない工程評価、設備保全への応用も期待できます。
・ 工具摩耗の定量的な評価の実現
・ 金型、工具、設備を対象としたインプロセスによる異常検知
・ 量産の加工機における工程評価や設備保全への応用

圧電式荷重センサー(ボルト型)PiezoBoltの詳細を見る

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