開発事例
ヘリカルギヤ 工程数削減精度向上

部品一体化によるコスト削減と同軸度の向上。板形状の2段ヘリカルギヤの鍛造開発

この事例は、産業用ロボットなどに用いられる板形状の2段ヘリカルギヤの、部品一体化によるコスト削減と精度向上を目指した開発事例です。

製品名称板形状の2段ヘリカルギヤ
用途産業用ロボット他
材質合金鋼 SCr/SCM
工法冷間鍛造(板鍛造)
開発期間3ヶ月〜5ヶ月

開発の背景と課題

従来、この板形状の2段ヘリカルギヤは2つの部品を別々に鍛造もしくは機械加工した後、接合させて1つの部品としていました。この方法では製造コストが2倍必要であり、さらに、別々の部品を結合する構造であるため、どうしても高い同軸度(精度)を保つことが難しいという問題も抱えていました。

多軸複動プレスの活用による部品一体化と同軸度の向上

これらの課題を根本から解決するため、当社では多軸複動プレスを用いた工法開発に取り組みました。具体的には、多軸プレスの機能を最大限に引き出すとともに、過去の知見に基づき最適なモーションを設定することで、ワンショット同時成形による部品一体化を実現しました。この工法の実現により、加工時間の短縮とコストダウンを達成できます。
また、ワンショットで成形できるため、別々の部品を合体させる従来の方法よりも遥かに同軸度が向上します。

新たな型構造によるリード部分の制約排除

多軸複動プレスの活用を可能にする要素として、当社が独自に新開発した型構造が重要な役割を果たしています。この型構造によって、多軸複動プレスの能力を最大限に引き出し、複雑な形状であっても、成形とノックアウトをワンショットの中で同時に行うことを実現しました。
その結果、リード部分の制約がなくなり、大ヘリカルと小ヘリカルで歯形のねじれ向きを逆にすることも可能となっています。

ヘリカルギヤ

大ヘリカル小ヘリカル
歯直角モジュール1.21.4
歯数9842
歯直角圧力17.5°20°
ねじれ角10°(右)10°(左)
大径φ120φ61
小径φ115φ57

※サンプルとして製作した部品の寸法

CAEによる徹底検証でトライ&エラーを削減

試作のトライ&エラーにかかるコストを削減するため、CAEソフト「DEFORM」による事前検証が徹底されました。
まず1/4モデルで複数パターンのシミュレーションを実行して、設計案を絞り込みました。その後、金型製作条件の詳細確認をするため、フルモデルでシミュレーションを行いました。
今回、実際に設計・製作した金型は、この解析のおかげで、初回試作で金型も製品も破損することなく、目標とする形状の製品を取得することができました。
より詳しい解析内容は、複動プレス×CAEによる最適工法解析|二段ヘリカルギア鍛造の高速化検討を実現をご覧ください。

ヘリカルギヤのCAE解析

高度な要求に応える一貫開発体制

ヤマナカゴーキンは、複雑かつ高精度なモノづくりを実現する一貫した開発体制を構築しています。
特に、今回の事例で効果を発揮した、多軸複動プレスをはじめとする先進的な設備を保有し、それを最大限に有効活用するための豊富な経験と知見を有している点が当社の大きな強みです。

さらに、CAE解析を有効活用することで、開発の初期段階から製品の破壊限界を追求する最適設計を迅速に行うことが可能です。
最先端の設備、高度なCAE解析、そして長年にわたる現場の知見を融合させることで、技術開発のリードタイムを大幅に短縮。難易度の高いお客様の要求に対し、最適な工法の提案と最高の精度での製品化をサポートすることが可能です。
実現性の難しい製品や難易度の高い部品開発など、お困りの際はぜひ当社にご相談ください。

よくあるご質問

開発・試作までしか対応いただけないのでしょうか?

いいえ、開発から試作、量産後のアフターサポートまで一貫して対応いたします。
当社は単なる「試作メーカー」ではなく、金型設計・製作はもちろんのこと、金型寿命改善のご提案、万が一の金型破損時のトラブルシューティングなど、量産フェーズにおける生産安定化までサポートいたします。

開発リードタイムはどのくらいかかりますか?

部品形状や難易度により変動しますが、設計着手からサンプル提出まで「平均3ヶ月程度」を目安としております。
本事例のような2段ヘリカルギヤの一体成形は難易度が高いものですが、当社では最先端のCAE解析(DEFORM)を駆使することで、実機によるトライ&エラーの回数を最小限に抑えています。

生産に必要な設備のスペック(プレス荷重や機能)はどの程度ですか?

部品の材質・大きさ・形状により最適解が異なるため、初期検討段階で「設備スペック案」を含めてご提示いたします。
今回の事例のように、一体成形と同軸度向上を実現するためには「多軸複動プレス」のような高度な制御が可能な設備が望ましいケースが多いです。
お客様が既にお持ちの既存設備で対応可能かどうかの判定、新設が必要な場合の必要な荷重(トン数)やスライドモーションの仕様策定、周辺関連設備との兼ね合いなど、工法開発と並行して、最適な生産ラインの構築に向けた技術コンサルティングを実施させていただきます。

コストダウンや品質向上、新たな部品開発への挑戦など技術相談を承ります。
まずはお気軽にご連絡ください。